創作論9 作品とは距離をとり、なおかつ揺さぶること
記憶の中から紡ぐ創作論の8回目、作品をおもしろくするには「距離」をとり、そして「距離」を揺さぶるべしとの話を、『細雪』を例にとって。
小説をはじめとする作品は、フィクションとナレーションからできている。
フィクションすなわち話の筋とか物語の型は、人間が考え出せるものなど高が知れている。作品をおもしろくするには、ナレーションがキモであるとはこれまでにも述べたところ。
これぞナレーションの勝利! と叫びたくなる例を挙げるなら、谷崎潤一郎『細雪』だ。
四姉妹の身の上にふりかかる、