山内宏泰 公式サイト

ライター。アート、写真、文学、教育、伝記など。 著書に「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史」など。 好物はマドレーヌ、おにまんじゅう。 【Twitter】@reading_photo   info@yamauchihiroyasu.jp

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    メディア掲載情報をお知らせ。

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    • 489本

    【掲載中】『Dr.Eggs ドクターエッグス』巻末記事 「病理医ヤンデル先生」市原真インタビュー

    『Dr.Eggs ドクターエッグス』5巻が5月に刊行。 巻末記事として「病理医ヤンデル先生」こと市原真さんのインタビュー、掲載されてます。 そのロングバージョンがnoteで公開中ですよ。ぜひ。 #ドクターエッグス #ヤンデル #三田紀房 @mita_norifusa #note https://note.com/mitanorifusa/n/n90f0a082d98b

    【掲載中】文春オンライン つのだふむin糸島

    「出会いをぜんぶ、マンガにするヒューマンマンガ家」つのだふむさんのこと。 文春オンラインで! #つのだふむ #糸島STORY 巨大なムカデとコオロギ、そして天井には大量のヤモリが…“異色の漫画家”が糸島で味わった“ドタバタ移住体験記” #文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/62731?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=socialLink #文春オンラ

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    【掲載中】「ヌメロトウキョウ」6月号 「写真家たちの冒険」「“世界の果て”のアート探訪」

    「ヌメロトウキョウ」6月号「写真家たちの冒険」特集で志賀理江子さんが挙げたのは「いまここにある身の回りの冒険」でした。日常の中にかつて生きた人の姿を見出していく。 「“世界の果て”のアート探訪」も。眺めれば辺境旅行気分。雑誌の醍醐味。 #ヌメロ

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    【掲載中】文春オンライン 歌舞伎町タワー アート

    著名なもしくは関係性あるアーティスト作品をかき集めたのじゃなくて、 「ここにあるべきは誰のどんな作品か」 と思考が重ねられただろうことが伝わってきてすてきだ。 東急歌舞伎町タワー内のアートについて、 #文春オンライン で。 #歌舞伎町タワー #アート

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    現在史1990〜

    1990年代からこのかたの「現在史」をつくる。

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    現在史1990〜 1991年3月のこと

     一九九一年三月のこと。  自分の内側が、空っぽのがらんどうになった気分だった。  寝て起きて、とくにすることも思いつかず、家のなかでぼおっとしている日が続いた。詰め込んだ受験知識が毎秒ごと、脳内からどんどん抜け落ちていくのがわかった。    月初に合格通知がきて、東京の大学へ進学できることになった。  速達で届いた通知を玄関先で開けた瞬間も、飛び上がるようなよろこびというより、これでなんとかなる、間に合ったかなと、ただただほっとした。  自分を受験勉強に駆り立てていたのは

    現在史1990〜  1990年12月のこと

     一九九〇年十二月末日だった。  大晦日とはいっても、特別なことは何もない。大掃除だってしない。秋口から同じペースで続けてきた受験勉強を、ひたすら継続するだけだった。  前の週から冬休みにはいった。年が明けても、三年生は通学しなくてもいいから、高校は実質終わったようなものだ。一日丸ごと二十四時間が、自分の手元に落ちてきた。ふつうなら持て余しそうだけど、いまは目の前にやることがたくさんあって、それをこなすのに精一杯で、時間はあればあるだけありがたい。  焦っていた。国語も英語も

    現在史1990〜  1990年11月のこと

     一九九〇年十一月のこと。  愛知と岐阜の県境近く、山ひとつ削って拵えられた新興住宅地の片隅に一軒の分譲住宅があって、その二階の六畳間で夜な夜な僕は勉強だけしていた。  十八歳で、受験生だった。  平日のルーティンは、こうだ。  まず、高校にはちゃんと通う。学校をあてにせずすべてを予備校に委ねるか、自分で計画を立てるツワモノもいるけど、自分にはそこまでの自信もビジョンもない。生活ペースを保つためだけでも、学校に行く意味はある。  とはいえ、大半の授業では内職に励む。最近はも

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    文学のことごと

    文学のすべてを、ここに集めるのだ。

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    写真を読む ~安部公房『箱男』のなかの、「見る・見られる」の関係

     安部公房の『砂の女』では、ひとくみの女と男が、砂のなかの家にとらわれている。  女が住んでいた家にあとから来ることとなる男は、虫を探して砂丘へと誘い出され、見つけた虫にカメラを向けるも、足元をとられてシャッターを押せなかった。  そのまま砂に巻き込まれ、家と女に絡めとられ、抜け出せなくなる。蟻地獄にはまったみたいに。  ああ、あのとき、シャッターを押しさえすればよかったのにとおもった。  シャッターを押して、写真に撮れば、その光景は記録され記憶の素となる。すなわち男にとって

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    サザンオールスターズ 『SOUTHERN ALL STARS』 は「身近な愛」をうたい上げる

     桑田佳祐とサザンオールスターズは、「空気」をつくるのが抜群にうまい。  一曲ずつ、その作品の輪郭というか、纏う色合いがくっきりとしていて、いつもねらいがたいへん明確。  1990年にリリースされた『SOUTHERN ALL STARS』は、バンドとして5年ぶりのアルバムとなるものだった。  一曲目の『フリフリ’65』は、いかにもなロックナンバーで、みんなに久しぶりにアイサツかますか! と言わんばかりの快活さに溢れる。  大いに「らしさ」を示しつつ、ほんのすこし探りを入れるよ

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    「演ずるひと」のこと 上白石萌歌の場合

    「演じる」って不思議だ。だれかになりきって時を過ごすことを、なぜこれほどわたしたちは好むのか。そこにどんな魅力や魔力があるのか。かつて聴いた言葉から探ってみたい。 上白石萌歌の場合はどうか。彼女が舞台に立つときは、その空間に観客とともに、「緊張の糸」を張り巡らせるのだという。    話を伺った2020年、上白石萌歌は舞台『お勢、断行』で、晶という令嬢役を演ずるべく稽古中だった。  過去の時代を生きたお嬢様になり切るため、聞き慣れない言葉、言い回し、所作を使いこなそうと心を砕い

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    【演ずるひと】長江崚行 ろくに趣味もない。俳優として、走れるうちは走り続けたいから。

    役者とは、かなり特異な人たちなんじゃないか。 自分じゃない人になりきって、しばしの時を過ごすって、どういう感覚なんだろう。うまく想像できない。何だかすごく怖いことのような気すらしてくる。 演ずることに憑かれた人たちの頭を渦巻く、悩みと喜びとはどんなものなのか。 たとえば、長江崚行の場合はどうか。 (初出・cakes2021年) 「実力派」とは、まさに彼のことだ。 コメディーからシリアスまでをみごとに演じ分ける俳優との世評を、若くして確固たるものとする。  芸能活動を始めた

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    写真のことごと

    写真のすべて!

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    写真を読む ~安部公房『箱男』のなかの、「見る・見られる」の関係

     安部公房の『砂の女』では、ひとくみの女と男が、砂のなかの家にとらわれている。  女が住んでいた家にあとから来ることとなる男は、虫を探して砂丘へと誘い出され、見つけた虫にカメラを向けるも、足元をとられてシャッターを押せなかった。  そのまま砂に巻き込まれ、家と女に絡めとられ、抜け出せなくなる。蟻地獄にはまったみたいに。  ああ、あのとき、シャッターを押しさえすればよかったのにとおもった。  シャッターを押して、写真に撮れば、その光景は記録され記憶の素となる。すなわち男にとって

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    大宮エリーが 聖地を 「スマホ」で「写真」にした理由

    「描くひと」としてペインティングをものするイメージが強いのが大宮エリーさんなのだけど、写真作品も意想外に多い。 2021年には二冊の写真作品集を刊行している。 自身の転機とするべく訪れた、米国シャスタの地で撮影した『SHASTA』。それに、自らの心のチャージに訪れた諏訪大社や洞爺湖の写真を並べた『SACRED SPACE』だ。 それぞれ撮影場所も時期もまったく異なるけれど、どちらも聖地を被写体にしているのは同じ。なぜ聖地写真を撮り、まとめることにしたのか? 聖地写真は見てい

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    美をさがすのが人生で唯一の目的である カッコいいのに自然体。写真家・服部恭平の「生活密着写真」はどう生み出されるのか

    「美をさがすのが人生で唯一の目的である」(初出・cakes2022年7月)再掲 だれもがいつでも写真を撮るようになって久しい時代に、あえて「写真で生きていく」ことを決断したのが、服部恭平さん。とことん洒落てキマっているのに、同時に日常のゆるやかな心地よさも感じさせる不思議な写真は、どのように生まれてくるのか。 まずはこのアルバムジャケットを見てほしい。   作曲家・都筑清太郎のファーストアルバム『続き/TSUZUKI SEITARO』。全曲、いたってシンプルなピアノ曲だ

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    林典子『フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」--60年の記憶』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

     話題になることはめっきり少なくなったといえ、1959年から84年にかけて、在日朝鮮人帰国事業がおこなわれていたのは歴史的事実です。夫に同行して朝鮮民主主義人民共和国に渡った「日本人妻」たちは、現地でどんな暮らしを営んできたのか。いま何を想っているでしょうか。  それを知るための一冊がこちらです。と店主が出してきたのは、林典子の6年間にわたる取材成果をまとめた『フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」--60年の記憶』。  これは岩波新書なので、基本的には文章を中

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    「創作論」と「編集論」

    創作と編集、その知見をできるだけ集め、まとめ、体系立てるのです。

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    創作論12 いま日本で物語するってどんなこと?

     記憶の中から紡ぐ創作論の11回目。  たとえば小説は、近代になって西洋で生み出されたジャンルであって、日本に伝わってきたのは明治時代に入ってから。  漫画はといえば、「鳥獣人物戯画」のような中世の著作に起源を求める説もあるけれど、まあ小説と同じく近代の産物と考えたほうが収まりはいい。  さて物語という存在に焦点を当てると、べらぼうに起源が古くなる。正確なところはだれにもわからないけれど、ヒトがヒトとなったころから、または言葉を操るようになって以来、物語はずっと紡ぎ続けられて

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    書くことの技術についての本

    書くことって、だれでもできる。 だからこそ、ちょっとした技術は、覚えておいたほうがいい。 以下の二冊は、基本の書としてすごくよくできている。 どちらも古い本だけど、いい内容。受け継がれているのには、やっぱりワケがあるものだ。 『日本語の作文技術』 本多勝一 朝日新聞社 作文には技術があるよ。基本的なテクニックというか、ノウハウがあるから、それを覚えておいて使いましょうね。  というのを改めて、一冊かけて明快に説いている。それだけで歴史的な存在意義のある書物だ。精神論に傾かず

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    創作論11  まずはスタイルを選ぶのだ

    記憶の中から紡ぐ創作論の10回めは、スタイルを選ぼうという話。 作品を書こうと思ったとき、まっさきにすべきは何か。 スタイルを選び取ることだ。 音楽だったらこれは、当然のこととして受け入れられている。 「あいみょんのコピーしてみたい」 「バッハの一曲でも弾けたら」 「BLUE GIANTのダイ・ミヤモトに俺もなる」 などなど、動機ややりたいことの違いによって、最初にスタイルは選択され、手にとる楽器も習得すべき技術も変わってくる。 なのに。小説やマンガをやるときは、ジャン

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    創作論10 作品内の関心事を、あえて言わずに関心を惹きつける

    記憶の中から紡ぐ創作論の9回目、肝心なことは言わずに済ませるか、言うにしてもできるだけ後出しせよ、という考え方を。 日本の文芸の世界では古来、「省筆の美学」が存在してきた。 文章は余計な部分を削りに削り、行間を読ませるのを旨とすべしとの考え方だ。 実体がないのに思わせぶりはダメだけど、肝心なところをあえて語らずに済ませ、読者に想像をたくましくしてもらうのはたしかに有効だ。 そもそも作品において、作者と読者の持っている情報は、原理的に不均衡である。 書く側の作者はすべてを知

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