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「創作論」と「編集論」

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創作と編集、その知見をできるだけ集め、まとめ、体系立てるのです。
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記事一覧

創作論16 物語とは関係を書くものだ

記憶の中から紡ぐ創作論の15回目。 物語、もしくは小説は何を表現しようとするものかを考える…

創作論15 言葉で世界を立ち上げること

記憶の中から紡ぐ創作論の14回目。 小説なら文章だけで、マンガは絵と言葉を用いて、世界を立…

創作論14 読者とともに書くとは

記憶の中から紡ぐ創作論の13回目。 小説や漫画では、読者と登場人物が結託して、知見を共有す…

書くことと読むことの技術 についての本

「文章予測」 石黒圭  角川ソフィア文庫 人はつねに予測を働かせながら文章を読んでいる。…

創作論13  味わい尽くしたくなる作品には、細部の充実がある

記憶の中から紡ぐ創作論の12回目、細部について。 結論やオチなどさほど重要じゃない。プロセ…

宮﨑駿の『君たちはどう生きるか』を 「物語づくり」から眺める 

物語づくりの観点から、宮﨑駿の新作『君たちはどう生きるか』をみてみる。 目についた特長を…

マンガのつくりかた にまつわる本を読む 『荒木飛呂彦の漫画術』 荒木飛呂彦 

『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦 集英社新書 第一線の実作者による創作術はさすが、話がきわめて具体的だ。 まず語られるのは、作品の書き出しをどうするか。 1ページ目に盛り込むべき要素には、 ・5W1Hの情報 ・キャラクターの個性 ・漫画全体の予告 がある。 1コマずつに複数の要素を描いて、情報をできるかぎり凝縮するといい。 たとえば、主人公に、 「パスタでも作ろうかな」 と言わせる。それで性格や境遇がわかる。育ちや経済状況が少なくとも悪くはないんだな、とか。 続けて荒

マンガのつくりかた にまつわる本を読む 『読者ハ読ムナ(笑)』 藤田和日郎

『読者ハ読ムナ(笑)』  藤田和日郎 『うしおととら』や「黒博物館」シリーズで人気の漫画…

創作論12 いま日本で物語するってどんなこと?

 記憶の中から紡ぐ創作論の11回目。  たとえば小説は、近代になって西洋で生み出されたジャ…

書くことの技術についての本

書くことって、だれでもできる。 だからこそ、ちょっとした技術は、覚えておいたほうがいい。 …

創作論11  まずはスタイルを選ぶのだ

記憶の中から紡ぐ創作論の10回めは、スタイルを選ぼうという話。 作品を書こうと思ったとき、…

創作論10 作品内の関心事を、あえて言わずに関心を惹きつける

記憶の中から紡ぐ創作論の9回目、肝心なことは言わずに済ませるか、言うにしてもできるだけ後…

創作論9 作品とは距離をとり、なおかつ揺さぶること

記憶の中から紡ぐ創作論の8回目、作品をおもしろくするには「距離」をとり、そして「距離」を…

創作論8 語り手と作中人物の「距離感」は重要だ

記憶の中から掘り起こす創作論の7回目。語り手と作中人物の「距離感」を測るのは思いのほか大事ということを、志賀直哉を例にとって。 長らく日本で「小説の神様」と称えられてきた作家といえば、志賀直哉。 志賀直哉作品の多くは自分の周りのことをつらつらと書き連ねる「私小説」であり、リアルに現実世界を描き出す自然主義的作品であるとされてきた。 私小説のフィクション面での特徴は、作家の身辺雑記ネタばかりであること。ではナレーション面の特徴はといえば、語り手と主人公が徹底して密着している