第二十夜 『現代美術コテンパン』 トム・ウルフ
これが著されたのは1970年代のこと。ニュー・ジャーナリズムの旗手と目された米国のジャーナリストの手になる、美術時評だ。
その頃のノリというのか、あとは訳の問題もあるか。軽い口調にどうも乗り切れないところはあるけれど、時代の空気みたいなものがダイレクトに伝わってくるのは悪くない。ジャーナリズム作品はそこが大事。
トム・ウルフは本書で、眼前にある作品やアーティスト、当時のアートシーンをどしどし描写していく。そのなかでひとつ主眼にしているのが、難解で理論ばかり先走る現代美術作