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文学のことごと

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写真を読む ~安部公房『箱男』のなかの、「見る・見られる」の関係

 安部公房の『砂の女』では、ひとくみの女と男が、砂のなかの家にとらわれている。  女が住…

サザンオールスターズ 『SOUTHERN ALL STARS』 は「身近な愛」を…

 桑田佳祐とサザンオールスターズは、「空気」をつくるのが抜群にうまい。  一曲ずつ、その…

「演ずるひと」のこと 上白石萌歌の場合

「演じる」って不思議だ。だれかになりきって時を過ごすことを、なぜこれほどわたしたちは好む…

【演ずるひと】長江崚行 ろくに趣味もない。俳優として、走れるうちは走り続けたいか…

役者とは、かなり特異な人たちなんじゃないか。 自分じゃない人になりきって、しばしの時を過…

文学の肖像  よしもとばなな×管啓次郎 対談記「うまく生きられないほど純粋な人を…

旅や詩、言葉のつむぎ方、眠る夢の大事さについて。作家のよしもとばななさんと詩人・比較文学…

文学の肖像  古沢良太 あの人気脚本家が、マンガ作品に手を染めたワケ

幅広いジャンルを渡り歩き、自在に設定される舞台やテーマ。奇天烈なところもあるが、同時に…

文学の肖像  倉数茂『名もなき王国』より なぜ人は物語に憑かれるの

これは物語という病に憑かれた人間たちの物語  ひとつの大きな物語の中に、いくつもの小さい物語が織り込まれて異彩を放つ小説が、倉数茂の『名もなき王国』。物語ることと生きることの関係について、じっくり考えた作品だ。  主人公は、過去にみっつの作品を発表するも、いまだ無名の小説家。あるとき出会った澤田瞬なる人物と交流するうち、澤田の伯母が幻想小説家・沢渡晶だったと判明する。瞬の半生と伯母の思い出、それに沢渡晶の作品が入り混じり語られ、一冊が構成されていく。  時空を行き交い、いく