山内宏泰 公式サイト

ライター。アート、写真、文学、教育、伝記など。 著書に「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史」など。 好物はマドレーヌ、おにまんじゅう。 【Twitter】@reading_photo   info@yamauchihiroyasu.jp

第三十一夜 『神様の友達の友達の友達はぼく』最果タヒ 〜月夜千冊〜

 最果タヒはほんとうになんでも書ける。ジャンルを無化する。この本に載っているのは便宜上エッセイと呼ばれることが多いのかもしれないけれど、詩でもあり小説でもあるだ…

「みかんのヤマ」 12 一家の転落 20211231

 みかん山の中腹、陽当たり抜群のうちの畠は、あっさり農会長に明け渡された。  これで崩れた風防の石積みも、事故の起きたトロッコも一新されるんだろう。  母には新た…

「みかんのヤマ」 11 母の決断  20211230

 母はあの日以来、呆然としたっきりだ。  もともと他所の人と屈託なく交われるタチじゃなく、父の横でにこにこ佇みやり過ごすのが常だった。ガードを喪ったいま、自分が…

「みかんのヤマ」 10ふたりぎりの葬送  20211229

 はい。わがままは言いません。  山のみなさんはどうか宅のこと気にせず、お仕事を続けてくださいますよう。  農会長のお力で、お達しを出していただけますか。  ただ…

「みかんのヤマ」 9「山の王」の威厳  20211228

 農会長が言わんとするのは、いまが収穫と出荷のピークであること。  どの畠も人員総出で、たわわに実ったみかんをもいで、ケースにぎっしりと詰め、傷ものにならぬよう…

「みかんのヤマ」 8グレーの背広の農会長 20211227

 甲斐甲斐しく父の手伝いに精を出すのが常だった母は、奉ずる先を急に失って身動きすらできなくなっている。到着したわたしを一瞥するも、とくに何を言うのでもない。その…