山内宏泰 公式サイト

ライター。アート、写真、文学、教育、伝記など。 著書に「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史」など。 好物はマドレーヌ、おにまんじゅう。 【Twitter】@reading_photo   info@yamauchihiroyasu.jp

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ライター。アート、写真、文学、教育、伝記など。 著書に「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史」など。 好物はマドレーヌ、おにまんじゅう。 【Twitter】@reading_photo   info@yamauchihiroyasu.jp

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    【掲載中】 ぴあ「水先案内」 「北斎づくし」展

    これだけ巨大な空間で展観しても、成したことの一端が知れるだけって、どれだけ巨大な存在なんでしょうね北斎って。 ミッドタウン・ホールでの「北斎づくし」のこと。 ぴあ…

    第二十五夜 「陰気な愉しみ」安岡章太郎

     なるほどこういうのが、書き手本人の心境を細かく描く「私小説」の典型なのだなあ。  月に一度「私」は、横浜の役所に年金をもらいに行く。戦争で負傷したことからおり…

    トタン屋根書店で、こんな写真集を薦められた 「ドアノーと音楽、パリ」ロベール・ドアノー

     暑いさなか、近所にできたトタン屋根書店へ寄ってみた。むろん他に客はいないので、気兼ねなく本の群れに目を通す。大判の写真集の数々に埋もれるようにして、小さい一冊…

    【掲載中】 文春オンライン 岩井俊二『零の晩夏』インタビュー

    岩井俊二さんの新作小説『零の晩夏』ほど、興味がどこまでも尽きない作品も珍しい。 濃密すぎるご本人のお話をどうぞ。 #岩井俊二 #零の晩夏 岩井俊二「光の見方のよう…

    近所に書店(写真集の充実した)ができて、うれしかった話。

     近所にいきなり書店ができた。  とはいえほんのささやかなもので、間口がたぶん一間半、奥行きはその倍という程度の規模。  ここらは東京郊外の典型的な住宅街だから、…

    第二十四夜 「雪」中谷宇吉郎

    雪の結晶は、天から送られた手紙である  科学の研究ってなんだろう? なんで、どうやって、するんだろう。  第一線の科学者が、そんな「素人」の疑問に懇切丁寧に答え…

    【掲載中】
ぴあ「水先案内」 「北斎づくし」展

    【掲載中】 ぴあ「水先案内」 「北斎づくし」展

    これだけ巨大な空間で展観しても、成したことの一端が知れるだけって、どれだけ巨大な存在なんでしょうね北斎って。
    ミッドタウン・ホールでの「北斎づくし」のこと。
    ぴあ「水先案内」で。

    水先案内人山内宏泰がセレクト いま、最高の一本 生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』 | ぴあエンタメ情報 https://lp.p.pia.jp/shared/pil-s/pil-s-21-01_bbadeb0

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    第二十五夜 「陰気な愉しみ」安岡章太郎

    第二十五夜 「陰気な愉しみ」安岡章太郎

     なるほどこういうのが、書き手本人の心境を細かく描く「私小説」の典型なのだなあ。

     月に一度「私」は、横浜の役所に年金をもらいに行く。戦争で負傷したことからおりる金なのだけど、その日が近づくとやけにそわそわしてしまう。いざ出かけても、役所の担当者の一挙一動にびくついてしまう。そうして、

    「私は、こんなにまでして金が欲しいのだろうか。」

     との自己嫌悪に苛まれるのだ。
     ただ、そこには嗜虐的な

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    トタン屋根書店で、こんな写真集を薦められた 「ドアノーと音楽、パリ」ロベール・ドアノー

    トタン屋根書店で、こんな写真集を薦められた 「ドアノーと音楽、パリ」ロベール・ドアノー

     暑いさなか、近所にできたトタン屋根書店へ寄ってみた。むろん他に客はいないので、気兼ねなく本の群れに目を通す。大判の写真集の数々に埋もれるようにして、小さい一冊が顔を覗かせていた。
    『ドアノーと音楽、パリ』。かわいい表紙と佇まい。
     手にとったとたん、何も言わずとも、店主がしたり顔で解説してくれた。

    「パリは移動祝祭日だ」
     と言ったのはヘミングウエイでしたね。戦前のパリの煌めきをひとことで言い

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    【掲載中】
文春オンライン 岩井俊二『零の晩夏』インタビュー

    【掲載中】 文春オンライン 岩井俊二『零の晩夏』インタビュー

    岩井俊二さんの新作小説『零の晩夏』ほど、興味がどこまでも尽きない作品も珍しい。
    濃密すぎるご本人のお話をどうぞ。 #岩井俊二 #零の晩夏

    岩井俊二「光の見方のようなものが、自分と似ていると思った」 画家・三重野慶との出会いから小説『零の晩夏』が生まれるまで
    岩井俊二さん『零の晩夏』インタビュー#1 #文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/47356?utm_

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    近所に書店(写真集の充実した)ができて、うれしかった話。

    近所に書店(写真集の充実した)ができて、うれしかった話。

     近所にいきなり書店ができた。
     とはいえほんのささやかなもので、間口がたぶん一間半、奥行きはその倍という程度の規模。
     ここらは東京郊外の典型的な住宅街だから、書店にかぎらずこういう個人商店自体が珍しい。
     どういう目論見と勝算があって、こんなところに小さい書店を構えるんだろう。
     心底不思議だったけれど、いや個人で書店なんか始める人は、勝算なんて考えるわけもないかと思い直した。根っから浮世離れ

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    第二十四夜 「雪」中谷宇吉郎

    第二十四夜 「雪」中谷宇吉郎

    雪の結晶は、天から送られた手紙である

     科学の研究ってなんだろう? なんで、どうやって、するんだろう。
     第一線の科学者が、そんな「素人」の疑問に懇切丁寧に答えんとしたのが本書。
     中谷博士は雪の研究に没頭していたのだけれど、まずは雪と日本人がいかに親密な関係を築き、共生してきたかを説く。たしかに日本の雪深い土地では、その風土条件によって独特の文化が育まれてきたし、また雪による被害を最小限に食い

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