山内宏泰 公式サイト

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山内宏泰 公式サイト

ライター。アート、写真、文学、教育、伝記など。 著書に「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史」など。 好物はマドレーヌ、おにまんじゅう。 【Twitter】@reading_photo   info@yamauchihiroyasu.jp

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記事一覧

月をたべにいくはなし

え。ほんと? なあにそれ。どうやっていくの? どんなあじ?  息せききって、ユウちゃんがたずねます。 「そうだなあ。味はねえ。香ばしかった、かな」 こうばしいって…

【掲載中】 週刊文春 桑田佳祐連載「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、第61回

桑田佳祐さん連載「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、第61回は「みんなビートルズが教えてくれた」! ジョンもポールもジョージもリンゴもみんな好き! という愛情が伝…

【掲載中】 文春オンライン アート・ジャーナル 近藤亜樹展

こんなに明るくまばゆい絵、見たことあります? シュウゴアーツでの近藤亜樹展、初作品集「ここにあるしあわせ」もすごいよ。画集のニュー・スタンダード。 うららかな空…

【掲載中】 文春オンライン 天野喜孝インタビュー

「ファイナルファンタジー」のイメージをつくり上げた天野喜孝さんが、曼荼羅に挑戦! インタビューをどうぞ。 「現代人の想像力をぶつけた」“ファイナルファンタジー”…

「描くひと」

 気になる個展がひとつあって、東京駅近くのギャラリーに立ち寄ることにした。  同じタイトルの展覧会案内は、たしか昨秋にも届いていた。それが何らかの都合で、これま…

「セールスマンの死」

 小さいニュータウンの、端っこにある二階建て分譲住宅。そこがセールスマン宅井龍馬の自宅だった。  窓という窓には雨戸が立ててある。外壁はくすんでいて、もとが何色…

月をたべにいくはなし

月をたべにいくはなし

え。ほんと? なあにそれ。どうやっていくの? どんなあじ?
 息せききって、ユウちゃんがたずねます。
「そうだなあ。味はねえ。香ばしかった、かな」
こうばしいって! なんで? もっと。おしえて。ねえ、どうゆうこと? なんのあじ? なにあじ?
「うん、そうだねえ。タマゴ……かな。タマゴの味に近かったかも」
イスに座って脚をくみ、おまけに手もくんで、にこにこしながらユウちゃんの顔をながめるお父さんでし

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【掲載中】
週刊文春 桑田佳祐連載「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、第61回

【掲載中】 週刊文春 桑田佳祐連載「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、第61回

桑田佳祐さん連載「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、第61回は「みんなビートルズが教えてくれた」!
ジョンもポールもジョージもリンゴもみんな好き! という愛情が伝わってきますよ。そして「大人だった姉」のお話もね。
発売中の「週刊文春」で! #桑田佳祐 #サザンオールスターズ

【掲載中】
文春オンライン アート・ジャーナル 近藤亜樹展

【掲載中】 文春オンライン アート・ジャーナル 近藤亜樹展

こんなに明るくまばゆい絵、見たことあります?
シュウゴアーツでの近藤亜樹展、初作品集「ここにあるしあわせ」もすごいよ。画集のニュー・スタンダード。

うららかな空気あふれる近藤亜樹絵画展 今年はギャラリーでお花見を
アート・ジャーナル #近藤亜樹 #ここにあるしあわせ #文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/44351?utm_source=twitter.c

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【掲載中】
文春オンライン 天野喜孝インタビュー

【掲載中】 文春オンライン 天野喜孝インタビュー

「ファイナルファンタジー」のイメージをつくり上げた天野喜孝さんが、曼荼羅に挑戦! インタビューをどうぞ。

「現代人の想像力をぶつけた」“ファイナルファンタジー”天野喜孝がコロナ禍で描いた巨大絵画
アート・ジャーナル #天野喜孝 #法華経画 #文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/44080?utm_source=twitter.com&utm_medium=

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「描くひと」

 気になる個展がひとつあって、東京駅近くのギャラリーに立ち寄ることにした。
 同じタイトルの展覧会案内は、たしか昨秋にも届いていた。それが何らかの都合で、これまで延期になっていたみたい。
 まあ展示の日程変更なんて、美術の世界じゃよくある。展評を書き継ぐのを生業をする身としては、しょっちゅう出くわすこと。
 とくにこのKさんという画家は、いかにも描けなくなる時期がありそうなタイプだった。何年か前に

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「セールスマンの死」

 小さいニュータウンの、端っこにある二階建て分譲住宅。そこがセールスマン宅井龍馬の自宅だった。
 窓という窓には雨戸が立ててある。外壁はくすんでいて、もとが何色だったかもう分からない。
 町が丸ごと眠り込んだ夜更けに、龍馬はようやく家へ帰ってきた。商売道具の見本入りアタッシェケースを両脇に抱え、靴底をアスファルトに擦り付けながら玄関までのたのた進む。
 ドアの前までなんとかたどり着くと、ポケットか

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