写真を読む ~安部公房『箱男』のなかの、「見る・見られる」の関係
安部公房の『砂の女』では、ひとくみの女と男が、砂のなかの家にとらわれている。
女が住んでいた家にあとから来ることとなる男は、虫を探して砂丘へと誘い出され、見つけた虫にカメラを向けるも、足元をとられてシャッターを押せなかった。
そのまま砂に巻き込まれ、家と女に絡めとられ、抜け出せなくなる。蟻地獄にはまったみたいに。
ああ、あのとき、シャッターを押しさえすればよかったのにとおもった。
シャッターを押して、写真に撮れば、その光景は記録され記憶の素となる。すなわち男にとって