吉本隆明 「彫刻のわからなさ」 を読む 〜まったくあたらしく世界を立ち上げることの、すばらしさとむずかしさについて
ピカソらによるキュビズムは絵画史上の大冒険だったというのが大方の世評、というか史実になっているけれど、じつはちょっと違うと思う。
キュビズムは絵画ではないからだ。
ではキュビズムは何だというのか? あれは彫刻だ。
「彫刻とは、具体的な素材に則した視覚的表現ではなく、想像的な表現ということになる。視覚は一方向からしか物事をとらえられないが、想像力は多面的で綜合的な代りに、細部の再現を無視するものだからだ」
と、吉本隆明は短い文章「彫刻のわからなさ」で言う。
人はものを