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写真のことごと

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写真を読む ~安部公房『箱男』のなかの、「見る・見られる」の関係

 安部公房の『砂の女』では、ひとくみの女と男が、砂のなかの家にとらわれている。  女が住…

大宮エリーが 聖地を 「スマホ」で「写真」にした理由

「描くひと」としてペインティングをものするイメージが強いのが大宮エリーさんなのだけど、写…

美をさがすのが人生で唯一の目的である カッコいいのに自然体。写真家・服部恭平の「…

「美をさがすのが人生で唯一の目的である」(初出・cakes2022年7月)再掲 だれもがいつでも写真…

林典子『フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」--60年の記憶』 〜ト…

 話題になることはめっきり少なくなったといえ、1959年から84年にかけて、在日朝鮮人帰国事業…

永井荷風の撮った写真 〜トタン屋根書店で見つけたもの〜

文豪・永井荷風が写真にはまっていたのはよく知られるところ。彼の手になる写真も多く伝わって…

中野正貴『TOKYO』  〜トタン屋根書店で見つけた本〜

 今年は東京がよく話題に上りますね、東京写真といえばまずこれでしょうと店主が出してきた一…

『つきのひかり あいのきざし』 尾野真千子と川島小鳥  〜トタン屋根書店で見つけた本〜

 写真はたいてい具体的な何かを写すものなのだから、被写体の重要性はいくら強調してもやり過ぎということはないはずです。これは写真がまずもって被写体のためのものであることを、はっきり示している一冊ですよ。  と言いながら店主が持ち出してきたのは、川島小鳥が撮影した『つきのひかり あいのきざし』だった。  被写体になっているのは、女優の尾野真千子。彼女を台湾や奈良各所で撮影したものです。どのカットも肩の力が抜けたムード。尾野真千子はどこまでも自然体で、無防備な姿を晒しています。た

田附勝『KAKERA』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

 ある瞬間をひとつの像に留め置く。そうやって時間を止めてしまえるのが写真の機能なのだけど…

鈴木理策『知覚の感光板』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

 これこそみずからの仕事、そう見定めたテーマや技法を長年かけて深めていくのが写真家という…

大森克己『心眼 柳家権太楼』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

ポートレートの極北を体験してみますか? と店主が棚から取り出してきたのは、大森克己撮影の…

池澤夏樹・垂水健吾『未来圏からの風』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

池澤夏樹の紀行文に、垂水健吾の写真が寄り添った本も、トタン屋根書店の書棚にさしてあった。…

「写真の物語」 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

写真集ではないですが、こちらも折に触れて眺めたくなりますね、と店主が携えてきたのは、打林…

港千尋『注視者の日記』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

これも私は写真集とみなしたいですね、と店主が取り出してきたのは、港千尋の『注視者の日記』…

『森山大道の東京 ongoing』 〜トタン屋根書店で見つけた本〜

 コンパクトながら作家の「今」が詰まっている感じがして、たいへん好もしい一冊はこれですと言いながら、店主が出してきてくれたのは……。  めくれども、めくれども。東京の猥雑な街並みが現れ出てきて圧倒されます。またこの撮影・発表スタイルが、およそ60年に及ぶ写真人生において、ずっと変わらなかったという事実にも驚かされるばかり。 『森山大道の東京 ongoing』は、東京都写真美術館で開催中の個展に合わせてつくられた一冊です。  森山大道といえば、東京を撮ることを長らく習性として