「若冲さん」 4 20211025
桝源では、当主の四代目抜きでも回るべく、すべてが算段されていった。
四代目には年端もいかぬユウという使用人がひとりつき、食事その他の一切を好きな時機にするよう言い渡された。青物問屋という商売柄、店の全体は極端に朝が早い。商いに関わらぬ者がとうてい合わせられるような時間割ではないのだ。
完全にひとり蚊帳の外に置かれた格好の四代目である。が、そのことを表立って気にする素振りは見当たらぬ。機嫌の波風はほとんど立たぬまま、至って平穏に過ごしているように感じられた。
それで