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マンガのつくりかた にまつわる本を読む 『荒木飛呂彦の漫画術』 荒木飛呂彦 

『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦 集英社新書


第一線の実作者による創作術はさすが、話がきわめて具体的だ。

まず語られるのは、作品の書き出しをどうするか。
1ページ目に盛り込むべき要素には、
・5W1Hの情報
・キャラクターの個性
・漫画全体の予告
がある。

1コマずつに複数の要素を描いて、情報をできるかぎり凝縮するといい。
たとえば、主人公に、
「パスタでも作ろうかな」
と言わせる。それで性格や境遇がわかる。育ちや経済状況が少なくとも悪くはないんだな、とか。


続けて荒木は、漫画の「基本四大構造」を説明する。
・キャラクター
・ストーリー
・世界観
・テーマ
このよっつが相まって作品はかたちづくられる。

そのなかで、何を措いても大事なのはキャラクター。
キャラクターをつくるとき、一番大事なのは動機だ。何をしたい人なのか、行動の動機をはっきりさせること。
『ドラゴンボール』の悟空なら、ズバリ「強くなりたい」ということになる。

動機を定めたら、何のために? 何をしたいから? と問いを重ねて、キャラを深めていく。
最初の1、2ページで、そのキャラがどういう目的を持ってストーリーの中にいるのかを読者に示せなくてはいけない。

よい動機とは、自然な倫理観に照らして好ましいものだ。正義、友情、そして最も共感されるのは、勇気

少年マンガでは、キャラは必ず成長するように描くこと。常にプラスを積み重ねどんどん上がっていくというのが、ヒットのための絶対条件となる。

主人公のキャラがしっかり出来上がっていて、動機が明確であれば、ストーリーはおのずと見えてくる。
そのキャラがこういう状況に陥れば、こんな行動をとって、性格や得意技を利用してこう切り抜ける、というのがわかるだろうから。


言わずもがな、マンガにとっては絵も大事。
荒木作品の絵の特徴は、ポージングにある。シルエットだけでキャラがわかるようにしたい。
ベルリーニの彫刻「アポロとダフネ」の螺旋状のつくりに、「ジョジョ」のキャラクターのポージングは影響されている。

絵の本質的な役割は、見えないものを可視化して伝えることである。
絵を通して伝えたいのは、愛や友情、正義などの目に見えないものなのだ。

絵のいいところは、永遠の一瞬が封じ込められるところ。凝縮力のあるのがいい絵だ。

マンガにおけるテーマは、四大構造をつなぎ、貫くもの。
テーマ=書きたいこと と考えればいい。
では「ジョジョ」のテーマは? 人間賛歌である。作品を通して、世界を肯定したいのだ。


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