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トタン屋根書店で見かけた本 「現代東京図会」 須田一政 zen photo gallery

 警報が出るほどの大雨が夕刻前に上がった。ぶらり歩いて書店の前まで来てみると、トタン屋根から水が滴り落ち続けていて、足元のアスファルトに水溜まりができていた。

 水溜まりってもの自体がいまどきじゃ珍しくなってきたなと思いながら、店先で一冊の写真集を手に取った。
 須田一政「現代東京図会」だった。店主がこう教えてくれた。

 1980年前後の、東京神田界隈にカメラを向けたものですね。モノクロだからぱっと見はもっと古い時代に思えるけれど、写っているものに目を凝らすといまも残る建物やら橋やらが見つかります。
 日本の街や風俗はすぐ何でも移り変わっちゃうというのは思い込みで、40年やそこらじゃ変わらないものも多いと知れる。
 もしくは身近なものを撮るのに冴えを見せた須田一政という写真家は、いつもどこかヘンテコなハズしたものを撮っているようでいて、じつは街の光景から最も普遍的なものを瞬時に選び取ってレンズを向けていたということなのかもしれないですねえ。
 人の営みなんて、大筋はそんな変わりゃしないんでしょう。だからこそほら、ここに並んでる古本だって、書かれてからずいぶん経っているっていうのに、読めば内容もそこに込められた心情もちゃんとわかるわけですよ。

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