第十四夜 『ホモ・ルーデンス』 ホイジンガ
遊びは文化より古い、のだという。
人類が共同生活を始めたときから、その行動にはすべて遊びが織り交ぜられていた。
そもそも、言語がそうだ。言葉を創るというのは、具体的なものに形而上的な概念をあてていく作業。具体的なものを抽象的なものに転換するわけだけど、その際にいつも使われるのは比喩だ。つまり言葉遊び。
思えば神話も祭祀も、もとはといえば純粋な遊びとしておこなわれたものである。そして神話と祭祀は、あらゆる文化を動かす原動力。法律、社会秩序、商取引、科学技術、哲学、すべてのもとは神話と祭祀にある。
遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為もしくは活動である。そうホイジンガは定義する。
それは自発的に受け入れた規則にしたがっている。その規則はいったん受け入れられた以上、絶対的拘束力を持つ。遊びの目的は行為そのものの中にある。緊張と歓びの感情をともない、これは「日常生活とは別のもの」という意識に裏付けられている。
なるほどここまで言われると、「真面目」や「仕事」の反対語として軽んじられてきた「遊び」の重みがぐっと増す。何しろわたしたちの生活における、生産活動以外のすべてのことは、すべて遊びであると言っていいのだから。
一読して世界の見え方や捉え方を変えてくれるもの。それが歴史に堪える書物なのだなと思う。
ホモ・ルーデンス
ホイジンガ
中公文庫
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