「みかんのヤマ」 25 スタバには行ったことがない 20220113
公園の敷地内には博物館があって、開館前の軒下は人影もないし涼しくていい。
わたしはしゃがみ込んで、魔法瓶に詰めてきた麦茶を身体に流し込む。
大通りまで出るとスタバがあることは見聞きして知っているけれど、わたしはそんな華やかな店に入ったことなんてない。
裾で口を拭いながら、本格的に暑くなるころには十八歳になると気づき、冷や汗が背を伝う。気が焦る。わたしは目的に向けて進めているんだろうか。
ガラス張りの建物に自分の姿が映り込んでいるのが目に入った。反射的に言葉が口をつ