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読み書きのレッスン

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寄せては返す波のように、読むこと書くことを日々学ぶのです。
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#みかん

「みかんのヤマ」 26 イベントが苦痛 20220114

 祖父母世代のグループに紛れ込んで、初めてスタバに入った。  皆が順繰りに呪文のような注…

「みかんのヤマ」 25 スタバには行ったことがない 20220113

 公園の敷地内には博物館があって、開館前の軒下は人影もないし涼しくていい。  わたしはし…

「みかんのヤマ」 24 城下の早朝 20220112

「太極拳なんていつでもやってる。明日からでも来るといい」  あっさり許されて拍子抜けした…

「みかんのヤマ」 23 骨と太極拳 20220111

 骨の知識ひとつで、だれかを喜ばせたり救うこともできるんだと実感した。  そのデキるスタ…

「みかんのヤマ」 22 リハビリテーション 20220110

 骨を学んでいると、わたしが日中働きに出ているリハビリセンターでの光景も、すこし違って見…

「みかんのヤマ」 21 20220109

 働きながら通う人も多いうちの専門学校は、準夜間制をとっている。  毎日の授業が終わると…

「みかんのヤマ」 20 骨を知る  20220108

 専門学校の生徒たちは皆、座学に見向きもしない。  初年度は講義を聴くかたちの時間が多いのに、たいていは遠慮なく居眠りしたり延々と爪をいじったり。時間をやり過ごす術を見つけるのに夢中だ。  ひとりわたしだけが、授業中の講師にまなざしを注ぎ続ける。飛び抜けて真面目で勉強熱心な性向だからというより、これは目的のあるなしの問題なんだろう。  だってわたしには、明確にやりたいことがある。人の心と身体を操る力を身につけて、山の王を凌駕しなければならない、そのためと思えば、授業に集中

「みかんのヤマ」19 わたしのロールモデル 20220107

 みかん山を奪うという目標を掲げるのはいいとして、そのためになぜ、人に施す仕事を目指す必…

「みかんのヤマ」 18 松山の専門学校 20220106

 うちの畠を、きっと取り返してやる。いや、それどころじゃない。  みかん山の丸ごとを、あ…

「みかんのヤマ」 17 疑いの眼 20220105

 あの事故以来の記憶が、わたしにはあまりない。  突如現れた対向車のライトに視力を奪われ…

「みかんのヤマ」 16 躍り出る対向車 20220104

 一日の最後、日付が変わるころ。車で町まで出るのがわたしの日課になった。  母を乗せた帰…

「みかんのヤマ」 15 夜中のミゼットⅡ 20220103

 夜になると町へ仕事に出る。日付が変わるころようやく家へ帰り着く。  そんな生活が定番に…

「みかんのヤマ」 14 持ち帰るポテトサラダ 20220102

 心を閉ざしたまま時間割をただこなす、長く退屈な学校の時間を終えてわたしが帰宅したときも…

「みかんのヤマ」 13 母の遅い帰宅 20220101

 山の王の、いいようにはさせない。  いくらわたしがそう固く決意しても、実際のところ何も変わりやしない。  母がみかんセンターを辞めたりしたら、母子ふたり明日から路頭に迷うだけで。  ただわたしは、町の商業高校へという提案を保留した。進路を確定するまでにはまだ間がある。何でも思い通りにはいかぬぞとの、せめてもの意思表示のつもり。  わたしがささやかな抵抗を胸に秘めて過ごしていたところ、思いがけず母が、もっと大胆な行動に出た。  生活がままならなくなるのも省みず、みかんセン