マガジンのカバー画像

読み書きのレッスン

150
寄せては返す波のように、読むこと書くことを日々学ぶのです。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

読み書きのレッスン 徴(しるし)の発見 再度の「風の歌を聴け」 村上春樹 講談社…

 先般「風の歌を聴け」の冒頭を読んで、 「自己陶酔できるだけの強さを持っているのが主人公…

読み書きのレッスン 徴(しるし)の発見 「家族写真」辻原登 と 「白夜」ドストエ…

 物語は、「出来事」「受動的感情」「能動的感情」に分けて見ていくことができる。  辻原登…

読み書きのレッスン 徴(しるし)の発見  夏目漱石「三四郎」

「うとうととして眼が覚めると女は何時の間にか、隣の爺さんと話を始めている。」  というの…

読み書きのレッスン 徴(しるし)の発見 「風の歌を聴け」村上春樹 講談社文庫

「風の歌を聴け」村上春樹 講談社文庫 「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶…

読み書きのレッスン 徴(しるし)の発見 「家族写真」辻原登 河出文庫

徴(しるし)を見つけるのだ。 ジャンルの徴、作者の個性、作品の特性が、作品のどういうとこ…

「漱石の恋」

「あなたは余っ程度胸のない方ですね」  縁側へ持ち出した低い洋椅子に腰掛けて、新聞を開い…

「スカルプター」 改

 うぐっ。んぐっ。むむぐっ。  遠慮のない嗚咽が、大きなホールに響いた。  涙と洟を盛大に流しているのは、生成りスタンドカラーシャツにゆったりシルエットの黒ジャケットを羽織る大柄な老体である。それで余計に人目を惹いた。居合わせた全員が彼を見ていた。  注目を意識したわけでもなかろうが、 「なんだこれは。こいつだけ哀しみの只中にいやがる」  老体はグシュグシュ顔面で音を立てつつ、ひとりごとにしてはやけに大きい声で言った。  視線の先には、ひとつの彫像がある。  それは女性の半身

「セールスマンの死」 改

1  小さいニュータウンの端っこのほう。狭い敷地いっぱいに建つ分譲住宅が、セールスマン宅…

月をたべにいくはなし

え。ほんと? なあにそれ。どうやっていくの? どんなあじ?  息せききって、ユウちゃんが…