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マンガのつくりかた にまつわる本を読む 『読者ハ読ムナ(笑)』 藤田和日郎

『読者ハ読ムナ(笑)』
 藤田和日郎

『うしおととら』や「黒博物館」シリーズで人気の漫画家・藤田和日郎が創作論を開陳している。

仕事場でアシスタントたちに言い渡しているのは、
「無口禁止」
という掟だ。

その意味するところは、

「他人がやっていることに興味を持て」

「人とコミュニケーションがうまくとれなければ、漫画家になんてなれない」

ということ。

漫画で大切なのは感動するネームを描くことであり、感動とは人の心が変わること。コミュニケーションをとって人心を把握することができずして、感動するものを描きようもないではないかとする。

コミュニケーションを通して言語化力を培うのもまた重要という。創作者としての個性は「好き」から生まれるので、自分の「好き」の感覚を言語化しなければならない。
あるシーンでなぜ自分が感動したのか言葉にできれば、同じ感触を自分でもつくれるようになる。

感動するネームを描くための方法も、いろんな角度から教えてくれる。
以下に並べておこう。

「ひとの気持ちが変わる」ことを描くには、Aという状態を示してから、Bという事件を描き、それによってCという状態に至る。この過程をひとつひとつ見せなきゃいけない。説明をはしょりすぎないことが肝要である。

ストーリーに合わせた人物を描いてはいけない。キャラクターがまずもって大事だ。主人公を立たせて、そのあとに世界観をつくること。
キャラクターをつくり深みを持たせるには、その人物のふるまいすべてについて、「なんで?」「なんで?」と自問自答していく。

ストーリーづくりの考え方は、まず欠けた円を登場させる。欠けていた部分を探し、見つけるさまを描く。そうして最後に真円を完成させる。それがすなわちストーリーだ。

マンガは一般常識から入らないと、読者はついていけなくなる。常識から入って、意外性を用意して、期待感の通りに終わるのが最良である。
その流れを一通り体験してもらい、結果としてどんな読後感を持ってもらいたいかを考える

少年漫画の場合、主人公は「いいやつ」にしておく。
「昔々あるところに正直者のお爺さんがいました」と始まる昔話をやればいい。出だしでそう描いてあれば、お爺さんが主役で、いいことするんだろうなと予想できる。その作品の設問が読者の中にスッと入ってくる


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